第4回価値デザインコンテスト~勝ちデザグランプリ2020~【審査員企業・団体紹介1:忽那憲治様】

価値デザイン社会の実現を目指したビジネスプランコンテスト

第4回価値デザインコンテスト~勝ちデザグランプリ2020~

本記事は価値デザイン委員会 委員 秋山博規(JCI豊岡)が担当いたしました。

 

今回より、勝ちデザグランプリの審査員の先生方を3回にわたってご紹介します。初回は、審査委員長の忽那憲治先生にお話を伺いました。

――― 忽那先生が経営学者の道に進まれた切掛けは何ですか?

(忽那)学生時代はラグビーに熱中していましたが、いざ卒業を目の前にした時に、偶々受講していた講義が面白く、その先生の研究領域に興味が惹かれたからですね。そこから、大学院進学や研究者の道に興味を持ちました。

――― 忽那先生が研究なさっておられることを教えてください。

(忽那)私の研究領域はファイナンス、特に未公開企業のファイナンスについて研究しております。会社を立ち上げて、事業を大きくしていって、IPO(株式公開)に持って行くというのが企業の目標の一つになりますが、この過程における金融を『アントレプレナーファイナンス』と呼んでいます。この分野について研究しています。当然、それだけでは研究にならないので、ビジネスモデルやイノベーション、アントレプレナーシップ(起業家精神)など、周辺領域も研究に入ってきます。

――― その他に活動なさっておられることを教えてください。

(忽那)2年前から大学発ベンチャーとして『株式会社イノベーション・アクセル』を設立しました。企業の跡継ぎの方や現役の経営者、ベンチャー企業を設立した方、そしてそういった人たちを支える仕事、例えばコンサルタントや金融機関などといった方々を繋ぎ合わせ、事業創造やイノベーションを考えるプラットフォームとなる会社です。

――― なぜ『株式会社イノベーション・アクセル』を作ろうと考えられたのですか?

(忽那)事業創造って、自分たちだけではなかなか難しく、総合力を問われます。同質の人が集まっても、到底イノベーションは起こらないです。しかし、組織ってどうしても同質の人間の集まりになりやすいので、性別や年齢、職業など多様な人たちがネットワークを作り、自分の専門分野外のことを学んだり、意見交換をしたり、力を合わせることで総合力を高めていくことを目指す、そのような場を作る必要があると思ったからです。現在200人くらいメンバーがいますが、後継者とベンチャー創業者とその他の人が同じくらいの割合で入会しています。

――― 青年会議所には、事業承継を控えたメンバーも多いですが、そういった人たちに何かアドバイスを戴けますか?

(忽那)ファミリービジネスは、悪い部分が出てしまうと考えが同質的になり、思考停止に陥ることがあります。しかし、すでに持っている経営資源という良い側面を活かしつつ、これまでとは異質なアイデアや自分の持っていない専門分野を組み合わせて、イノベーションに挑戦する、そして会社が持続していく形を模索してほしいと思います。しかし、今後、例えば人口減少や高齢化といった環境変化をリアルに問いかけないと難しいでしょう。その上、コロナウイルスの影響も加わるので、より厳しくなると思います。冨山和彦さんの提唱する『コーポレート・トランスフォーメーション』をするくらいの気持ちで向き合っていってほしいと思います。そのためにも、異質な人と意見を交換し、自分の持っていないリソースを持つ人に助力してもらい、といったことができるコミュニティに参加してほしいと思います。

――― 青年会議所のメンバーは突破力のある人が多いので、先生の指摘されたような繋がりや知恵を合わせれば、面白いですね。

(忽那)これからは総合力が問われますから、金融が苦手だとか言っていられなくなります。様々な知恵を出し合い、苦手分野に協力してくれる繋がりを持つことで、その突破力が活かせるのではないでしょうか。

――― 最後に、今回勝ちデザグランプリの総評をお願いします。

(忽那)今回最終審査に残ったどの事業プランも課題を明確に持ち。どのように解決するのかということはしっかり考えていたと思います。だからこそ、どのような未来を実現したいのかということをもっと明確に示し、それがSDGsの17のどのゴールに係っているのかを説明してくれると良かったのかな、と思います。

あとはビジネスとしての収益性、持続可能性を高めるための戦略をどのように考えるかということになります。経営環境やヒトモノカネといったリソースの問題に向き合って、頑張っていただきたいと思います。

忽那憲治(くつな・けんじ)

1964年生まれ、愛媛県出身。経営学者、神戸大学大学院教授。1997年博士(商学)取得。大阪市立大学助教授、神戸大学助教授等を経て現職。専門はアントレプレナーシップ、イノベーション、アントレプレナーファイナンス。研究の傍ら、全国各地で起業家や中小企業の支援活動を行っている。

 

【勝ちデザグランプリ2020】

http://hlclient4.xsrv.jp/kachideza/…/kachidezagrandprix2020/

>>勝ちデザグランプリに対するお問い合わせは

価値デザイン委員会 副委員長 新谷 剛士

090-5677-7255

kachideza2020@gmail.com