価値デザイン社会の実現を目指したビジネスプランコンテスト
第4回価値デザインコンテスト~勝ちデザグランプリ2020~
※本記事は価値デザイン委員会 委員 辻 清吾(JCI神戸)が担当いたしました。
今回は、委員会特別賞プランのひとつである、『付加価値の高いジビエレザー製品の開発販売を実施し、障がい者の就労賃金向上』(応募者:本 泰志氏)について紹介します。
【プラン概要】
現在、特定非営利活動法人えんとかくでは、障がい者の支援を行っているが、その課題の1つに障がい者の就労賃金向上がある。
実際、障がい者の就労における平均的な時給は200円程度であり、この課題を解決するには製造方法が確立されており、付加価値の高い製品やサービスを提供する必要性があると感じていた同法人の理事長 本氏はジビエレザーの活用についての起業プランを聞いた際、その製造工程や付加価値の高さに、障がい者における高額製品の開発ができるのではないかと考え、当初、このプランを考案した株式会社fairy god mom と協働で本事業プランを実施するに至る。
一方、獣による農作物の被害は、平成30年に愛知県だけで約4億3000万円出ており、それら獣の駆除に掛かる費用や、獣からでる皮の処分には膨大な税金が使われており、獣害被害対策を行った際に狩られた獣の皮は通常産廃として処分されている。
本事業プランでは、この産廃となっていた皮の有効活用と、その製造を障害者就労支援施設で行うことにより、付加価値の高い製品づくりに寄与し、障害者の賃金向上につながっている。
・2020年度第1期
「OMOTENASHIselection(おもてなしセレクション)」受賞
https://omotenashinippon.jp/prize/news/15034/
【プランの現況】
本事業で製品化された本革ジビエレザー製品を特定非営利活動法人えんとかくが各協力団体のコーディネートを行い、製造依頼、ネット販売をしている。
また、本製品の革の加工には植物タンニンを使用しているが、これは、従来のクロム(塩基性硫酸クロム)を使ってなめした革やその製品と比べ、その過程において自然や人体に有害となる物質が排出されるリスクを最小限にとどめることを実現し、日本エコレザー基準の認証も受けている。
赤ちゃんや敏感肌の人でも安心して使え、また再利用した後は土に還すこともできる地球環境に配慮した製品である。
その一方、製作する就労支援事業所としては安定した生産が望まれているが、販路の獲得が難しく、現時点では受注販売という形となっており製造が安定しないことや、天然のジビエレザーという性質上狩猟期以外の期間は材料の入手が安定しないという課題がある。
【プランの展望】
障がい者が作ったからではなく、質の高さを目当てに商品を手に取る人が増え、それが障がい者の賃金向上につながることを目指している。
月間50品目以上の販売を目標に材料確保、製造数の安定を図り、 百貨店へのブース出展を現在交渉中である。
・愛知県の三越への催事交渉中
・全国の三越への催事交渉中
・そごう横浜店申請中
・郵便局のネットショップ「いいものジャパン」への出品申請中
【受賞者コメント】
一次審査通過できましたこと、とてもうれしく思っております。
本事業は社会課題の取組を事業としてしっかりと継続ができるかを考え、複数の事業者と連携して始まった事業です。
高品質で長く愛される製品開発を障がい者の手で作ることで、今までにないブランドを作れないかと考え続けてきた結果、今は多くの方にご理解いただき、事業が進んでおります。
当初からSDGsのゴール8,11,12,15,17の達成を目指しており、ひとつひとつ達成に向かっていると感じております。本GPでの評価は、これからブランド化に向けて進めていくための弾みになったと感じます。ありがとうございました。
特定非営利活動法人えんとかく
理事長 本泰志
【企業情報】
特定非営利活動法人えんとかく(応募者:本泰志)
【勝ちデザグランプリ2020】
http://hlclient4.xsrv.jp/kachideza/…/kachidezagrandprix2020/
>>勝ちデザグランプリに対するお問い合わせは
価値デザイン委員会 副委員長 新谷 剛士
090-5677-7255
kachideza2020@gmail.com
公益社団法人日本青年会議所
価値デザイン委員会
委員長 﨑野 雄生