デジタル変革事例vol.1~大正13年の老舗設備工事業が、“スマートガテン”企業に変革~ 後半 システム導入後

 

企業概要 

社 名 中島工業株式会社 大阪市淀川区宮原

代表取締役社長 山脇 秀敬

業 種 工場プラント設備・産業用空調設備工事・給排水衛生消火設備工事・水源設備工事

    水処理設備工事・排水処理設備工事・コンサルティング(設備診断)・電気設備工事

社員数 119名

 

【デジタル化でコミュニケーションの質は高まる】

 中島工業株式会社では、ほぼ全ての業務がKintone上で行われるようになりました。営業日報に当たるシステムは真っ先に開発され、書き込みに対するコメントや「いいね!」などが頻繁にやりとりされています。なんと社長は全ての日報に目を通し、「いいね!」を押しているとのこと。

 しかし、多くのやりとりがシステム上でされるようになると、リアルなコミュニケーションの機会はかえって減ってしまい、意思疎通がうまくいかないということはないのでしょうか。

 

「確かに、リアルなコミュニケーションの“量”は減ったと思います。しかし逆に“質”は高まりました。なぜなら、単純な報告等はオンライン上で済んでいるので、その情報を持った上でリアルなコミュニケーションが行われるからです。また、オンラインでは完結しない事柄だけがリアルにコミュニケーションされるので、非常に深い議論になりますね。」

 

【スマホが普通に使えればデジタル化には対応できる】

 また、デジタルやシステムと聞くと苦手意識を持ってしまう人もいるでしょう。ましてや当社はいわゆる“現場系”の企業。デジタル化には皆さん問題なく対応されたのでしょうか。

 

「もちろん、最初は苦手意識のある人もいました。でも今は全社員が問題なく使いこなしています。だって、実は何も難しくないんです。皆さんのおじいちゃん、おばあちゃんでも孫とコミュニケーションしたいとなったらスマホを使っているでしょう?要はやる気なんですよ。そして、今のアプリってよくできていて、すごく使い易いんです。スマホが使えれば問題なく使えますよ。77歳の会長もスマホにもインストールしたKintoneをバリバリ使いこなしていますよ。」

 

【システム会社を立ち上げる】

 中島工業ではAIエンジニアリング株式会社(https://ai-e.co.jp/)というIT子会社も立ち上げ、システムエンジニアもどんどんと採用しています。どのような理由でIT会社を立ち上げるまでに至ったのでしょうか。

 

「私たちはお客様にお役立ちしたい、お客様の業務を楽にしてあげたい、と常に思っています。私たちのお客様には食品系の工場が多いのですが、かつてない大きな変化の潮流にさらされています。トレーサビリティの要求などは高まる一方で、採用環境の悪化や定着率の低下はとどまらず、働き方改革いよいよ待ったなし。つまり、『人の頑張りでの対応は限界にきている』んです。この状況を解決できるのはシステムの力しかないですよ。そこで、本格的なシステム開発に乗り出したんです。」

 

具体的にはどのようなサービスなのでしょうか。

「これまでの設備管理は、長年の経験に基づいた一部のベテランが行っていました。しかし、今後もそのような人に頼り続けられる保証はありません。サステナブルじゃないですよね。そこで、誰でも簡単に使える工場設備の状況を把握することが可能になるクラウドシステムを開発し、サービスとして展開することにしたのです。いわば、アナログ情報のデジタル化です。これによって、単なる業務効率アップだけでなく、予防保全に取り組んだり、いつ修繕すべきかといった意思決定の支援までできるようになります。」

 

【コロナ禍はデジタル変革のチャンス】

 

「コロナの影響は多くの企業にとって本当に厳しいです。しかしながら、デジタル変革にとってはこれ以上の機会はないとも言えます。だってこれまではITが『あったらいいな』というレベルだったものが『なくてはならない』ものになるのですから。『やるかやらないか』じゃなく『いつやるか』です。だったら早い方がいい。デジタルシフトにいち早く着手できた企業とそうでない企業の差はますます大きくなるでしょう。」

 

 

現在、中島工業株式会社でもAIエンジニアリング株式会社でも新型コロナウイルスの拡大防止の観点から、在宅勤務を推奨しています。しかし、もとから紙帳票を廃止し、経営会議もKintoneを見ながら実施、支店間はウェブ会議のシステムを完備していました。デジタル化を進めていたおかげで全く業務に支障は出ていないと言います。中島工業株式会社はこれからもデジタル変革の最先端を走っていかれることでしょう。

 

(訪問取材は2月に行いました

お問い合わせ:価値デザイン委員会

 

副委員長 常村 英司

080-3003-9125 kachidezaplatform@gmail.com